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閉鎖しました。


『僕よ静かに眠れ』

いびつなスコップでほじくり返された僕の胸
湧き出てくるのは泥水と花束だった
時が訪れるのを知らせるサイレンが鳴り響き
僕は寒暖差を思い身もだえするんだ

小さなネズミみたいなのがおっかけっこを
いつまでも頭の中で繰り返している
僕は糖分の含まれていないコーヒーを飲み
するとネズミのおっかけっこが加速した

そこに捨てられた色とりどりの服を
僕は何枚も重ね着していった
けれど一枚だけ着れなかった服があったんだ
それは大きすぎる服で窮屈なものじゃなかった

未来から嘲笑の手紙が届く
僕はその手紙を開けることが出来ない
どうにかその手紙を燃やしてしまおうと
しけったマッチをこすりつづけているんだ

歓喜と芸術のパレードが続く
華々しいファンファーレが街の隅まで響く
僕は臆病になる
ドアが大きな風で勝手に開いていく

鼻歌が止まらない病にかかったんだ
何をうたうべきかもわかりゃしないのに
体がリズムをいつまでも刻みつづけるんだ
体がリズムをいつまでも刻みつづけるんだ

今ごろクラスメイトたちはこの星の上で
僕なんかと同じように布団に潜っている
まったく違う夜の中でまったく違う夢の中で
まったく同じ時間を走っている

僕よ静かに眠れ
海の中で静かに眠るんだ
僕よ静かに眠れ
朝の中で静かに眠るんだ
僕よ静かに眠れ
箱の中で静かに眠るんだ
僕よ静かに眠れ
渦の中で静かに眠るんだ


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